1985年、日本たばこ産業(yè)株式會社 (JT) は、日本専売公社のたばこおよび塩の事業(yè)を引き継いで誕生しました。売上高の約9割を占めるたばこ事業(yè)にくわえて、現(xiàn)在では、冷凍麺、冷凍米飯、焼成冷凍パン、パックごはん、調(diào)味料を中心とした加工食品事業(yè)と、醫(yī)療用醫(yī)薬品を中心とした醫(yī)薬事業(yè)へも進(jìn)出しています。醫(yī)薬研究において、醫(yī)薬品の候補(bǔ)を発見するのに重要なハイスループットスクリーニング (HTS。高速大量スクリーニング）を活用している、JT醫(yī)薬総合研究所 生物研究所 判谷 吉嗣 （はんたに?よしじ）氏に、同社の醫(yī)薬研究やハイスループットスクリーニングなどについてお話をおうかがいしました。

寫真1 日本たばこ産業(yè)株式會社 醫(yī)薬総合研究所

病気から世界の人々を救う「オリジナル新薬の創(chuàng)出」

JTが醫(yī)薬分野に事業(yè)を拡大したのは1987年のことでした。「科學(xué)、技術(shù)、?財を?切にし、患者様の健康に貢獻(xiàn)します。」―――これが、同社の醫(yī)薬事業(yè)が掲げるパーパス（存在意義）。病気で苦しむ世界中の患者様へ、一日も早くJT発のオリジナル新薬を?qū)盲堡?、患者様に喜んでいただきたいという思いで、一丸となって研究開発を進(jìn)めています。オリジナル新薬の創(chuàng)出に欠かせないのが、手厚い研究開発體制です。同社は今から30年前の1993年に醫(yī)薬総合研究所を立ち上げ、研究開発體制を強(qiáng)化してきました。醫(yī)薬総合研究所は、化學(xué)研究所、生物研究所、生産技術(shù)研究所、薬物動態(tài)研究所、安全性研究所など、複數(shù)の研究所から構(gòu)成される総合研究所です。低分子醫(yī)薬品に特化しており、現(xiàn)在は主に「循環(huán)器?腎臓?代謝」「免疫?炎癥」「中樞」の3領(lǐng)域で研究開発を進(jìn)めています。生物研究所では、新規(guī)物質(zhì)の薬理?生化學(xué)的評価等を行うことをその任務(wù)としています。判谷氏は、生物研究所において、化合物探索のハイスループットスクリーニングを行う部署に所屬しています。

寫真2 日本たばこ産業(yè)株式會社 醫(yī)薬総合研究所 生物研究所 判谷 吉嗣氏

創(chuàng)薬研究のプロセス：「オリジナル新薬」の原石を発見するには

一般に、新薬の開発は、創(chuàng)薬ターゲットを決めること（ターゲット同定）からスタートします。これは、たとえば、疾患に関連するたんぱく質(zhì)を選定するなど、創(chuàng)薬の標(biāo)的となる分子を決めることです。近年はAI（人工知能）を活用してターゲットを選定することもあります。次は、薬理活性を示す化合物を見つけるヒット創(chuàng)出です。ヒット創(chuàng)出には、文獻(xiàn)や特許化合物情報を活用する方法やコンピューターによるシミュレーションを活用する方法にくわえて、選定したターゲット（たんぱく質(zhì)など）に対しての結(jié)合や阻害など、薬理活性を示す化合物を、ライブラリに登録された何十萬、何百萬もの化合物の中から見つけていくランダムスクリーニングなどがあります。そして、得られたヒット化合物を最適化し、テーマにもよりますが、細(xì)胞や動物で効くレベルにまで仕上げていくのがリード創(chuàng)出です。こうして得られた化合物をリード化合物と言います。いわば、新薬の「原石」とも言える化合物です。その後、さらにリード化合物の構(gòu)造を最適化して、活性や安全性を高め、前臨床試験、臨床試験へと進(jìn)んでいきます。

図1 創(chuàng)薬研究のプロセス

新薬の「原石」発見を支える分析機(jī)器

ランダムスクリーニングによるヒット創(chuàng)出や、リード創(chuàng)出では、多數(shù)の化合物を分析して、ふるいにかけていく必要があります。そこで活用されるのがハイスループットスクリーニングです。JTでは2000年頃からプレートリーダーを中心に、蛍光分析など、光學(xué)的特性を元にしたハイスループットスクリーニングに取り組んできました。これにくわえて、2012年にはハイスループット質(zhì)量分析システム (HT-MS) を新たに導(dǎo)入しました。判谷氏自身が質(zhì)量分析計を活用したたんぱく質(zhì)分析の経験を有していたことや、當(dāng)時、質(zhì)量分析計の利用が適している脂質(zhì)関係の研究テーマなどがあったこと、さらにはフラグメント創(chuàng)薬 (FBDD) を始めようとしていたことなどがその背景にありました。

ハイスループットスクリーニングの第1選択には、蛍光分析などが用いられることが多いものの、ハイスループット質(zhì)量分析システムの能力が求められるシーンもあります。ヒット創(chuàng)出におけるハイスループットスクリーニング、フラグメント創(chuàng)薬、リード創(chuàng)出における構(gòu)造活性相関 (SAR) 探索などが、その例として挙げられます。

判谷氏は「質(zhì)量分析のメリットの1つは、ノンラベルで天然基質(zhì)や生成物の検出が可能なことです。そのため、たとえば、脂質(zhì)の分析には質(zhì)量分析計を用いた分析が適しています。その他、基質(zhì)のなかにはラベル化が難しい物質(zhì)があり、この場合にも質(zhì)量分析を用います。また、フラグメントスクリーニングの場合、高濃度のため、光學(xué)的特性を元にした手法では干渉の問題が起きることがあります。この場合も質(zhì)量分析を選択します?！工仍挙筏皮い蓼埂￥蓼?、光學(xué)的特性を元にしたスクリーニング後に、質(zhì)量分析を用いたスクリーニングを行うことで、偽陽性や偽陰性を排除するという使い方もあります。

ヒット創(chuàng)出、リード創(chuàng)出に活用されるハイスループット質(zhì)量分析システムは？

2012年にJTが採用したハイスループット質(zhì)量分析システムは、アジレント?テクノロジーの「Agilent RapidFire 360」。先述の背景に加えて「RapidFireを活用して十萬もの化合物をスクリーニングした他の製薬會社の実例を文獻(xiàn)で知ったことなど、様々な條件が重なりました。」と、導(dǎo)入の背景を振り返っています。2021年までに7ターゲットの研究に「RapidFire 360」を使用してきた判谷氏は、「384サンプルを1時間で処理できるというスループットは期待どおりでした。フラグメントスクリーニングによく活用しましたが、3萬化合物のスクリーニングを2週間程度で終えることができました。」と語っています。

寫真3 Agilent RapidFire 360 ハイスループット質(zhì)量分析システム。2012年導(dǎo)入

2021年には、後継機(jī)種の「Agilent RapidFire 400」と質(zhì)量分析計「Agilent 6495C」を組み合わせたシステム（RapidFire-MS）を?qū)毪筏皮辍?023年までにすでに3ターゲットの探索に活用しています。判谷氏は、「特に細(xì)胞內(nèi)の基質(zhì)の変動を検出する評価では、質(zhì)量分析計以外の評価系では構(gòu)築が難しく、RapidFire-MSを用いることにより、安定した評価系を構(gòu)築することができました。これにより、合成化合物の構(gòu)造活性相関を効率よく評価し、活性向上に貢獻(xiàn)することができました?！工仍挙筏皮い蓼?。また、「RapidFire 400」では、新たに1536ウェルプレートに対応したことや、冷卻可能なサンプル保管ユニットを搭載していること、さらにはプレートハンドラロボットや質(zhì)量分析裝置との接続性が改善されたことなど、使い勝手の向上を感じています。

JT醫(yī)薬総合研究所で10年以上にわたってRapidFireが使われてきた理由は何でしょうか。ノンラベルで天然基質(zhì)や生成物の検出が可能なことや、蛍光干渉や色の干渉を受けにくいという裝置の利點(diǎn)はもちろんですが、アジレントから期待に沿ったサービスやサポートを受けられていることも挙げられます?！弗ⅴ弗欹螗趣衰签`タの蓄積があり、たとえば、用途にあったカラムカートリッジの選択や質(zhì)量分析計の條件設(shè)定などについて質(zhì)問をすると、的確な返事が得られるという印象があります。また、コンタクトセンターに電話やメールで問い合わせをすると、すぐに連絡(luò)をもらえます」（判谷氏）と、話しています。

RapidFireでは、カラムカートリッジを通さずに質(zhì)量分析計に試料を注入することで高速化を図る「ダイレクトインジェクション」というモードもありますが、ハイスループットスクリーニングの仕事に攜わる判谷氏は、「1次スクリーニングの第1選択の裝置となるためには、さらなる高速化を期待したい」と言います。また、JT醫(yī)薬総合研究所 生物研究所のハイスループットスクリーニングのグループでは、「RapidFire 400」に接続されている Agilent 6495Cのほか、複數(shù)のメーカーの質(zhì)量分析計を使い分けています?！弗岍`カーや分析手法によって特性があるので、分析対象によってはRapidFireに他の質(zhì)量分析計を接続できたらさらに便利になると思います?！工扰泄仁悉显挙筏皮い蓼?。

判谷氏は、RapidFireをより活用できるよう、ユーザー同士の交流の場を提供してほしいと、アジレントに提言しています。それぞれのユーザーが知っているノウハウやトラブルの解消法などを他のユーザーと共有できれば、同じことで悩んでいるユーザーにとって時間の短縮につながるからです。

寫真4 Agilent RapidFire 400 ハイスループット質(zhì)量分析システム

これからの創(chuàng)薬：AIの活用と、研究者のセンス

近年の創(chuàng)薬のトレンドをふまえ、判谷氏は新しいモダリティへの対応が重要になると考えています。創(chuàng)薬の世界では、しばしば「low hanging fruits （手の屆くところに実っているフルーツ）はすでに取りつくされてしまっている」と言われます。簡単な創(chuàng)薬ターゲットは殘っておらず、殘っているのは難しいターゲットだけだという意味です。難しいターゲットに対応するために、世界的には、標(biāo)的蛋白質(zhì)分解（TPD: Targeted Protein Degradation）や蛋白質(zhì)相互作用安定化薬（Protein Interaction Stabilizer）、共有結(jié)合性化合物といった新しいモダリティへの取り組みが進(jìn)んでおり、質(zhì)量分析計の活用も広がりを見せています。何十年も創(chuàng)薬の世界を見てきた判谷氏は、「古い技術(shù)に、新しい技術(shù)を組み合わせて使っていくということがよく起きています。古い技術(shù)にも著目しながら、新しいものを加えていくというアンテナを張ることが創(chuàng)薬には重要です」と話します。

創(chuàng)薬におけるハイスループットスクリーニングにおいては、AIの活用がますます進(jìn)むとともに、質(zhì)量分析計の重要性が高まるというのが、判谷氏の見立てです。AIを活用していくには、AIがそのベースとして利用しているデータが非常に重要になってきます。質(zhì)量分析計を使えば大量のデータを取得することが可能です?！纲|(zhì)量分析計のデータは堅牢で信頼性があると思っています。質(zhì)量分析計で得られたデータとAIの組み合わせというのは、ますます活用されていくと思います」と判谷氏は予想しています。

AIを使えば誰もがいともたやすく醫(yī)薬品の候補(bǔ)を見つけられるわけではありません。判谷氏は、「TPDなどの新たな創(chuàng)薬モダリティが見つかっていますが、モダリティはこれからも増えていくと思います。そのようななか、どのようなアプローチで醫(yī)薬品の『原石』を見つけていくのか、研究者のセンスが問われています。切磋琢磨しながらセンスを磨き、今後も一日も早くJT発のオリジナル新薬を?qū)盲堡?、患者様に喜んでいただきたいと思います」と話しています?

この記事に掲載の製品はすべて試験研究用です。診斷目的には利用できません。

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