生體內(nèi)の低分子代謝物の種類や濃度を包括的に分析?解析する「メタボロミクス」。遺伝子やタンパク質(zhì)に比べて生體や細胞の表現(xiàn)型に直結(jié)する代謝物を扱うこの學(xué)問領(lǐng)域は、がんをはじめとする病気の診斷や創(chuàng)薬研究などの分野で期待が高まっています。

今回は、メタボロミクスを?qū)熼Tとして技術(shù)開発や応用研究に取り組む九州大學(xué) 生體防御醫(yī)學(xué)研究所附屬 トランスオミクス醫(yī)學(xué)研究センター 馬場健史（ばんば?たけし）教授に話を聞きました。

九州大學(xué) 生體防御醫(yī)學(xué)研究所附屬 トランスオミクス醫(yī)學(xué)研究センター 馬場健史教授

「メタボロミクス」とは代謝物を網(wǎng)羅的に分析?解析する學(xué)問のこと

私たち生物の體は無數(shù)の細胞が集まって作られています。一つ一つの細胞は、DNAの情報をRNAに転寫し、タンパク質(zhì)への翻訳を経て最終的な代謝産物を作り出し生命活動を行っています。つまり代謝物とは、DNAから出力された情報を示す物質(zhì)であると同時に、病気の癥狀のような身體や細胞の表現(xiàn)型にも深く関わる物質(zhì)といえます。

ゲノム情報から代謝産物を生成するプロセス

 

生體內(nèi)の物質(zhì)を網(wǎng)羅的（包括的）に分析する手法?學(xué)問をオミクスと呼びますが、何を解析対象とするかによってその呼び名が変わります。DNAを解析する場合はゲノミクス、RNAはトランスクリプトミクス、タンパク質(zhì)はプロテオミクスと呼ばれます。代謝物の場合は、「メタボロミクス」と呼び、またメタボロ―ム(Metabolome)は代謝物の総體のことになるので、「メタボローム解析」と同義語になります。

「メタボロミクス」の有用性と目指すゴール

代謝物はその特性上、病気の表現(xiàn)型に最も直接的に関與しているという點で、ゲノムやRNA、タンパク質(zhì)とは違った有用性を秘めていると馬場教授は話しています。

「たとえば、がんを早期発見するために、生體內(nèi)のどんな物質(zhì)を検出すべきなのか考えてみましょう。現(xiàn)在ゲノミクスの技術(shù)発展により、あるがんの発生に特定の遺伝子が関與することが明らかになってきました。しかし、もしその遺伝子から異常なRNAやタンパク質(zhì)が作られても、健常者であればそれを取り除くシステムが働くため、実際にがんになることはありません。また、がんが形成されたとしても、初期の段階ではがん細胞に由來するタンパク質(zhì)などが少量であるために検出することができず、早期診斷が難しいのが現(xiàn)狀です。代謝物の場合であれば、早期であっても體內(nèi)の代謝は変化をしていますので、どのような代謝物が體內(nèi)にどれだけあるか調(diào)べることで、がんの診斷マーカーとして利用することができます。」

実際には、代謝物だけを単獨で調(diào)査しても、體內(nèi)で起こった異常のメカニズムを完全には解明できません。病気のメカニズムをより深く理解するためには、先に挙げたゲノミクス、エピゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、そしてメタボロミクスを統(tǒng)合させ総合的に解析するトランスオミクスが重要です。

馬場教授は特に醫(yī)學(xué)分野を中心に、他分野の研究者や醫(yī)師、企業(yè)とともにメタボロミクスとほかのオミクスとの統(tǒng)合解析を目指した応用研究を進めています。

トランスオミクス実現(xiàn)のために技術(shù)開発と優(yōu)れた分析研究者の育成が必要

トランスオミクスの実現(xiàn)のためには、メタボロミクスの中で解決すべき課題があると馬場教授は言います。

「メタボロミクスの現(xiàn)狀の課題の一つとして、複數(shù)の施設(shè)で同一サンプル、同一代謝物を測定しても、施設(shè)ごとに分析結(jié)果がばらついてしまうという點があります?！?

このような課題を解決するため、現(xiàn)在馬場研究室では、異なる施設(shè)で異なるメーカーの分析機器を使って同じデータを出す手法も開発しています。

「メタボロミクスの抱える課題の２つ目は、メタボロミクスで信頼のおけるデータを出すために、熟練した分析技術(shù)者の養(yǎng)成が必要なことです。最近は、信頼できるデータを安定して出せる分析技術(shù)者の數(shù)が減っていると実感しています。我々の研究室でも技術(shù)者の育成には特に力を入れています?！?

50以上の企業(yè)や大學(xué)等の研究所と共同研究を行う

馬場研究室では、データの信頼性確保、高速分析の自動化、代謝物のライブラリー構(gòu)築のため、50以上の企業(yè)や大學(xué)等の研究所と一緒に研究を行っています。アジレントのGC/MS（ガスクロマトグラフ質(zhì)量分析計）を使って、CCLD(Calibration Curve Locking Database)という代謝物の定量的なデータベースを構(gòu)築する研究を進めています。

「今後一般企業(yè)にメタボロミクスを普及させるにあたり、測定した代謝物を參照するためのデータベースが必要となります。このようなデータベースの存在は、他のオミクスで取ったデータを突き合わせ、トランスオミクスを用いて病気のメカニズムを解明していく際にもとても重要です。」

Calibration Curve Locking Database (CCLD) の構(gòu)築

さらに、アジレントの製品は、馬場教授の別の研究でも使われています?，F(xiàn)在は、脂肪酸やステロイドといったターゲットとなるメタボロームが決まっているような分析に「Agilent 7000シリーズ トリプル四重極GC/MS」を、ノンターゲットで全體の成分を見るような分析に「Agilent 5977B シングル四重極GC/MS」を利用しているといいます。

馬場教授は、これらの裝置のメリットとして、信頼性?安定性はもちろん、JetClean セルフクリーニングイオン源の機能も挙げています。馬場教授の研究室で測定されるサンプルは、たくさんの成分が測定対象である反面、不純物も多く、イオン化の際にイオン源が汚れやすいことが課題でした。しかし「JetCleanを搭載するアジレントのGC/MSでは、使用頻度から想定していたほど汚れておらず驚きました。我々の分野にとっては非常にメリットがある機能ですね」と馬場教授は評価しています。

優(yōu)れた分析機器を使いこなせる分析研究者の養(yǎng)成も重要

トランスオミクスを?qū)g現(xiàn)させ信頼できる分析結(jié)果を安定して出すために、研究者はスペックの高い分析裝置をきちんと使いこなすための分析技術(shù)が必要となると馬場教授は話しています。

「私たちの研究室では、裝置の修理やメソッド開発を最終的に學(xué)生たち自身で行えるようになることを目指しています。また、分析原理やメソッドの意味などを、裝置に觸れながら時間をかけて學(xué)んでもらいます。そのような試行錯誤が人を育て、企業(yè)や研究施設(shè)で分析業(yè)務(wù)に攜わったとき、自分で問題を解決することができる希少な人材に育っていくと考えています。私の研究室からそのような熟練した分析者が巣立ち、他の人にもその技術(shù)を伝えられるようになってほしいと考えています。」

そして、分析の技術(shù)やノウハウを身につけていくために重要なことのひとつに、分析機器のサービスエンジニアとのやり取りを挙げます。

「アジレントのエンジニアの方が研究室で機器の點検を行う際は、いつも學(xué)生に見學(xué)させています。學(xué)生には、エンジニアと仲良くなって色々なことを教えてもらうよう伝えています。」と馬場教授は話しています。

「たとえばF1?マシンでも、ドライバーの違いでスピードは変わりますよね。いくら車のスペックが良くても、その機能を使いこなして走ることができなければ意味がありません。運転技術(shù)のトレーニングを受けているかどうかということはとても重要です。それは、分析機器も同様。裝置のスペックだけでなく、それをきちんと使える人を育てていくということも、この業(yè)界を維持していくためには重要だと考えています」  

メタボロミクスの有用性や可能性をより広く知ってもらいたい

馬場教授に今後の活動の展望についてもうかがいました。

「メタボロミクスはまだ認知度が低い學(xué)問分野で、多くの可能性を秘めているにも関わらずその有用性については、まだまだ社會一般に理解されていないと感じています。みなさんにメタボロミクスの技術(shù)をもっと活用してもらうため、応用研究で結(jié)果を出すだけでなく、メタボロミクスの結(jié)果をみんなが利用できるような環(huán)境整備にも取り組んでいきます。」

最後に、馬場教授がアジレントに期待していることは何かをうかがいました。

アジレントはメタボロミクスにとても理解のあるメーカーと感じていますし、我々としてもありがたい存在です。これからさらなるオミクスの発展のために、これからもぜひ一緒に研究を進めていければと思っています?！?

メタボロミクスの普及によって様々な研究分野で革新的な成果が生まれ、技術(shù)力の高い研究者が業(yè)界をリードできるような未來を創(chuàng)るため、馬場教授の挑戦はこれからも続きます。